G. ロッシーニ(1792.2.29〜1868.11.13)
Gioacchino Rossini

ジョアッキーノ・アントニオ・ロッシーニはイタリアのペザロにて、音楽一家ホルン奏者の父と歌手の母との間に生まれた。少年時代は古典派様式の器楽曲を作曲したが、1810年以後オペラ・ブッファで成功し、イタリア初期ロマン派歌劇の最大の作曲家となった。生涯39曲のオペラを作曲したが、1829年パリで書いた「ウィリアム・テル」を最後に歌劇は手がけず、以後40年間は教会音楽、声楽曲や小品だけを作曲した。

「アルジェのイタリア女」序曲 (1812)
L'Italiana in Algeri〜Overture (Sinfonia)

ロッシーニ21歳の時に書かれた11作目のオペラ。「偉大なシュレイマン二世の美しい女奴隷ロクセラーナ」という伝説に基づいて アンジェロ・アネッリが書いた台本による二幕からなるオペラで、17世紀オスマントルコ統治下のアルジェリアを舞台に、 トルコ人太守のハーレムに囚われの身になったイタリア女イザベラが滑稽な策を巡らして太守を騙して逃走するという、 軽妙なドタバタ劇になっている。 1813年5月22日にヴェネツィアのサン・ベネデット劇場で、ロッシーニ自身の指揮によって初演され熱狂的な大成功を収めた。 イタリア各地で大評判となった初演の後、ドイツとフランスで初めてのロッシーニのオペラとして、ミュンヘンとパリでも上演されることとなった。 オペラとして上演される機会は多いとは言えないが、序曲は単独でも頻繁に演奏される有名な曲となっている。

セヴィリアの理髪師 序曲(1813)
Ouverture di Barbiere di Siviglia

オペラ「セヴィリアの理髪師」は、フランスのポマルシェの戯曲による2幕物の歌劇で、モーツァルトの「フィガロの結婚」の前編に当たり、登場人物もほぼ同じである。舞台は18世紀セヴィリアの街角。高貴な身分の美男子アルマヴィーヴァ伯爵が、気のきく理髪師フィガロの智恵を借りて、美しい娘ロジーナとの結婚を望む後見人の医師バルトロの裏をかき、めでたくロジーナと結婚をする。機智とユーモアにみちたドタバタ喜劇で、パリで初演された。  この序曲はロッシーニの歌劇の序曲の中でも特に有名であるが、もともとこの歌劇のために書き下ろされたものではない。わずか4ヶ月前にナポリで初演された「イギリスの女王エリザベッタ」の序曲を転用したもので、しかもまた3年前のオペラ「パルミラのアウレリアーノ」のために書き下ろしたものの再々転用であった。しかし「セヴィリアの理髪師」だけが有名になったため、この歌劇の序曲として残っている。序曲はいわば開幕のファンファーレだが、これほど胸をわくわくさせる序曲は少ない。序奏-A-B-C-A-B-C-コーダの典型的な形式で、Cの部分では主題が繰り返されるたびにピアノからフォルテへと徐々に盛り上がっていく、いわゆる「ロッシーニ・クレッシェンド」が目覚しい効果をあげる。この序曲は、独立して管弦楽コンサートで好んで演奏される名曲である。

歌劇「ウィリアム・テル」序曲 (1829)
The Opera “William Tell” Overture

「ギローム・テル(Guillaume Tell)」<オペラの原語は仏語>は、スイス独立運動の闘士ウィリアム・テルの物語に、対立する陣営にあるマティルドとアルハルの恋を絡ませているオペラで、この有名な序曲は、「夜明け」「嵐」「牧歌」「スイス独立軍の行進」の4部分からなる情景描写的な内容になっている。

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