マスネはフランスの作曲家。 『マノン』、『ウェルテル』、『タイス』等のオペラで広く知られる。9歳でパリ音楽院に学び、後にその教師として多くの後進を育てた。
「タイスの瞑想曲」は、ヴァイオリンのアンコールピースとして、また多くの編曲によりその甘美な旋律が有名であるが、
原曲はオペラ『タイス』第2幕の〈第1場〉と〈第2場〉の間で演奏される間奏曲である。
〈第1場〉で、修道僧アタナエルにより、美貌の遊女であるタイスが、享楽的な生活を捨て神による救いを見出すよう説得され幕が下り、
タイスが来し方を振り返り瞑想しているという流れの中で、このアンダンテ・レリジオーソ(敬虔な・宗教的な)と指定された間奏曲が演奏される。オペラの間奏曲として珍しく合唱を伴い、
宗教的な感興を添える中、彼女の内面的な葛藤と決意を象徴する曲となっている。
間奏曲の後、神に仕えると決意したタイスは俗世に別れを告げ、修道僧アナタエルと共に修道院を目指すこととなる。