マルティニは、ドイツのフライシュタットでフランス人オルガニストの両親の元に生まれ、11歳で早くもオルガニストとして収入を得るようになる。1760年にロレーヌのナンシーに移住し宮廷に職を得た後、1764年からはパリに居を構え宮廷音楽家として活躍する。1766年に公募された軍隊行進曲の作曲コンクールで1位を受賞、1771年には歌劇「15歳の恋人」で成功したことで、歌劇と行進曲の作曲家として有名になり、1788年には宮廷楽長、パリでの劇場監督に任命された。オペラ、室内楽曲、レクイエム、教会音楽等多くの作品を残したが、現在では、ジャン・ピエール・クラリス作詞によるフランス語歌曲「愛の喜び」の作曲者として知られている。
愛の喜びは一瞬だが別れの苦しみは生涯続く、という苦い歌詞ではあるが、その甘いメロディが故に多くの編曲が為されている。エルビス・プレスリーの「好きにならずにいられない」の原曲でもある。