サルヴァトーレ・ファルボ・ジャングレコ (1872-1927)
Salvatore Falbo Giangreco

サルヴァトーレ・ファルボ・ジャングレコはシチリアのシラクーサ北方アヴォラに裕福な地主の長男として生れ、パレルモの音楽学校でピアノと作曲を学んだ。1896年に卒業、その5年後に作曲コンクールに入賞、ニコシアの吹奏楽団の指揮者となり、その後アヴォラの吹奏楽団指揮者を1922年まで務めた。
マンドリンの作品は、ミラノのイル・プレットロ誌のコンクールに入賞した、フル・オーケストラ合奏曲の「組曲田園写景 (1910)」、「序曲ニ短調 (1912)」、「組曲スペイン (1922)」や、「プレクトラム四重奏曲 (1922)」、4パート合奏曲「抒情的間奏曲 (1924)」の5曲を含め、全部で14曲あるが、全てイル・プレットロから出版された。一般に彼の作品は、大胆かつ複雑巧妙な和音及び不協和音の作用、それに官能的な旋律と相まってとっつきにくい印象を与えるが、それまでのマンドリン音楽を近代音楽の世界に脱皮させた革命的なもので、どれもがマンドリン音楽の至宝作品となっている。

序曲 ニ短調 (1912)
Ouverture in Re minore

1912年イル・プレットロ誌主催の第4回作曲コンクールにおいて、「序曲ニ短調」は金賞に輝き、イタリア文部省からの賞品“G.ヴェルディ”の肖像画を獲得した。これによってファルボのマンドリン界における地位は不動のものとなった。
不気味で暗示的な導入部に続いてアレグロに入り、何かの始まりを想像させる第一主題から詩情豊かなロマンあふれる第二主題に続き、幾度も盛り上がりを見せながら多彩に展開していく。マンドリン芸術に革新的な息吹を吹き込んだ不朽の名作である。

間奏曲 (1916)
Intermezzo

「間奏曲」は1916年3月号に発表された4パート合奏曲で、コンクールに入賞した諸作品と比べるとかなり初期のものと推定されるが、その美しい旋律と共にすでに彼の非凡な資質を感じさせる名曲である。

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