フランツ・レハールは、オーストリアやドイツを中心にウィンナ・オペレッタの分野で活躍した作曲家。プラハ音楽院でドボルザークらに学び、軍楽隊長を経て、ウィーンでは「メリー・ウィドウ」に代表されるオペレッタ作曲家として人気を博した。「銀の時代」とよばれたウィンナ・オペレッタの第二黄金期を代表する作曲家となった。
この「金と銀」は独立した管弦楽作品として書かれている。軍楽隊長としてウィーンに出たばかりのまだ無名のレハールは、1899年に芸術家のパトロンとして当時有名であったパウリーニ・メッテルニヒ侯爵夫人から舞踏会用ワルツの作曲を委嘱され、1902年にウィーンのゾフィエンザールの舞踏会で自身の指揮によって初演した。メッテルニヒは毎年謝肉祭の頃に催す舞踏会にテーマをつけ、この年のテーマが「金と銀」であった。会場の天井から壁面まで、また参加する人々の衣装も金銀で様々に彩られていたと伝えられている。現在ではシュトラウス一族の作品と並び、代表的なウィンナ・ワルツとして広く演奏されている。
この曲は英語訳の「メリー・ウィドウ(The Merry Widow)」として親しまれているが、元はドイツ語を原語とする3幕からなるオペレッタ(邦題は「陽気な未亡人」)である。
レハール自身の指揮により1905年ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で初演され、大成功を収めた。 莫大な遺産を相続した未亡人のハンナと訳ありの伊達男ダニロを中心に繰り広げられる恋の騒動が内容となっているが、のちに映画化もされるなど世界中で人気となった。
第3幕でハンナとダニロが二重唱で歌うワルツは特に有名で、その甘美で心地よい旋律により単独でもよく演奏されている。
「メリー・ウィドウ」(陽気な未亡人)の第2幕の冒頭で、主人公である裕福な未亡人ハンナ・グラヴァリが自邸で催した宴会で客をもてなすために歌う曲。歌詞の内容は森の妖精ヴィリアに恋をした若い狩人が恋心を歌うもので、オペレッタの内容とは無関係のもの。子守歌を彷彿させる優しさに溢れた美しい旋律で、「メリー・ウィドウ」の中でも最も有名な曲の一つである。