甲田弘志は熊本生れ。1975年熊本マンドリン協会常任指揮者に就任、現在に至る。作曲･編曲･指揮を独学で学び、変拍子や細やかなテンポルバートを取り入れる事で、マンドリン音楽のオーケストラとしての表現力の拡大に継続して力を注ぎ、また、フレットによる特異性を活かした独特のオーケストレーション
(MOMメソッド) により、ヴァイオリン･チェロ･管楽器･声楽等プロの演奏家との共演にも地道に取り組んでいる。
作品には、マンドリン･オーケストラの為のアルバム「雀通りの猫のうた」第1〜21集、音楽物語「よだかの星」 (宮沢賢治記念館収蔵)、「銀河鉄道の夜」、マンドリン協奏曲、歌曲、校歌、社歌ほか、編曲は全500曲を越える。
本曲は1999年日本マンドリン連盟主催の第6回作曲コンクールにおいて第2位に入賞した作品。作曲者は「森は生きている」(富山和子著) にヒントをもらい、マンドリン･オーケストラの表現力を高める目的で作曲し、描写音楽ではなく古典的なソナタ形式によっている。第1主題の全音音階による「線」の旋律から、第2主題のピッチカートによる「点」の旋律により構成され、変拍子を交えながら変化に富んで展開していく。